2010年11月20日土曜日

「終わらざる夏」浅田次郎


忙しいだなんだと言いながら、東京往復の新幹線も含めて、
2週間かけて読みました。
浅田次郎の小説としては、読みにくい所もあり、時間がかかってしまいました。
夏に買っていたのですが、なぜか読みはじめが、入りにくくツンドクになっていました。
尖閣諸島、北方領土問題から、また気になり読み始めたら、
今度は止まらなくなりました。
小説として、面白いのかどうか、或は上手なのかどうかは分かりません。
その辺りは、アマゾンのカスタマーレビューにも皆さん書かれているので、ごらん下さい。
でも、今の日本に生きる、戦争を知らない私たちが、読むべき本だと思いました。
私は、北方領土の事を完全に間違って理解していたようです。
大学生の時、2週間ほど北海道を旅行した事が有りました。
その折、根室のあたり(あまりに遠い記憶で、場所がはっきりしない)で、
観光船のようなものに乗った時、
地元の方が、ここにいると、全然違った見え方がするんだよ、
すぐそこに島がある、そして、ソビエトの船もすぐそこに見える。
と、話しておられたのを思い出しました。
きっと、あのおじさんは、戦争を知っている世代、
どんな思いで、本土から来たなんにも知らない大学生をみていたのでしょうか。

小説の筋としての面白さはありません。
途中で出て来る、ソ連兵の話も、なんかノンフィクションの中に(本自体はフィクションです)
急に、ファンタジーが出て来るような違和感です。
でも、たくさんの登場人物の一人一人の人生に対する誠実さに、
心を打たれました。
今も、どこかで戦争があり、誠実に生きている一人一人が、
命を奪われて行く、許されない事です。

アイヌ語の『カムイ・ウン・クレ』神、我らを造りたもう。
この言葉が後半のキーワードになります。

これだけ誠実に、人生に向かい合う事が出来ているでしょうか。
自分にそれを問わずにはおられませんでした。

この本を読んでみたいと思います。

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